『虚人たち』

虚人たち (中公文庫)作者: 筒井康隆出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1998/02/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 141回この商品を含むブログ (56件) を見る実験的な小説は(長めの)短編で読むにはいいが、まともに長編で読むとなるとめんどくさい。『…

『蒼氓』1951年

蒼氓 (新潮文庫)作者: 石川達三出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1951/12メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (15件) を見る これといった強力な主人公いないし、著者が特定の人物の肩を持っているような様子もなく、最初は変な感じだ…

A Star Called Henry (イギリス 1999年)

A Star Called Henry作者: Roddy Doyle出版社/メーカー: Vintage発売日: 2000/09/07メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る 最初はアイルランドものにありがちな貧乏物語で、ああ、またですか、と思ったが、主人公の Henry が家族に置い…

『アフリカの蹄』1992年(講談社文庫 1997年)

アフリカの蹄 (講談社文庫)作者: 帚木蓬生出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/07/14メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (8件) を見る 勧善懲悪物語。私のアレルギー反応が出る。 「白人の悪者が罪のない黒人を差別し、それに怒った日本人が…

『白い宴』1976年

白い宴 (角川文庫 緑 307ー4)作者: 渡辺淳一出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1976/01メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 全体的にはいいんだけど、新聞記者と看護婦の情事物語がウザっ。こんなものいらない。 全体的にはいい…

『海と毒薬』1958年

海と毒薬 (新潮文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1960/07/15メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 79回この商品を含むブログ (161件) を見る■テーマは「日本人とはいかなる人間か」 どこが? 献身的なドイツ人と人懐っこい表情をしたアメリ…

Orlando

わが主人公オーランドーは16世紀のイギリスに16歳の少年として登場し、17世紀には「男」から「女」に性転換、さらに生きつづけ、巻末の1928年において齢なお36歳である。「時」の限界と「性」の境界を超えて、多様な「読み」を誘発するメタバイオグラフィの…

『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』1970年(新潮文庫 1982年)

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1982/09/28メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 191回この商品を含むブログ (123件) を見る ルネサンス期、初めてイタリア統一の野望をいだいた一人の若者…

『ルネサンスの女たち』(中公文庫 1973年)

ルネサンスの女たち (中公文庫)作者: 塩野七生出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1996/06/18メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (19件) を見る 政治もまた偉大な芸術であったルネサンスのイタリアにおいては、女性たちも大胆に、あるいは不…

日本語訳『マクベス』(1969年)

マクベス (新潮文庫)作者: シェイクスピア,福田恒存出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1969/09/02メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 35回この商品を含むブログ (84件) を見るhttp://www.sparknotes.com/shakespeare/macbeth/ 品行の優れたスコットランド王ダ…

The Van (イギリス 1991年)

The Van作者: Roddy Doyle出版社/メーカー: Vintage Books発売日: 1997/08/20メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見るこんなくだらない小説、久しぶりに読んだ 主人公の Jimmy Rabbitte Sr. は、大人数家族を抱えながらも無職の失業保険…

『第4の神話』1999年(角川文庫 2002年)

第4の神話 (角川文庫)作者: 篠田節子出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2002/12メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (10件) を見る 死んだ人気作家のモデルは森瑶子という噂 この人気作家のゴージャスぶりを示す根拠のひとつとして「ショート…

Lolita (1997年)

Channel 4 Lolita 役の Dominique Swain は本当にかわいいし、それまで演劇の経験が全くなかったとは思えないほどの好演技。ただし、その後、歳を取ったらあまり美人ではなくなったみたい Lolita の母親 Charlotte 役の Melanie Griffith は、相変わらずの不…

『蒲生邸事件』1996年(文春文庫 1999年)

蒲生邸事件作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 1996/09/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (17件) を見る 物語の語り手が大人の一歩手前で、筆者の言いたいことに従順すぎ、ものわかりよすぎ、作者の操り人形なのがあ…

Mrs. Dalloway (1925年)

Mrs Dalloway (Penguin Popular Classics)作者: Virginia Woolf出版社/メーカー: Penguin Classics発売日: 1996/06/27メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る(1ポンドと50ペンスの名作) 著者は外国に関心があ…

Dr. Orwell and Mr. Blair 1994年

Animal Farm と Nineteen Eighty-Four を台本にして George Orwell の伝記を小説風にアレンジしたもの。突っ込みはさほど鋭くないが、Orwell 先生について浅く広くつまみ食いできるところがよい 農場の所有者 Jones に Alex という息子がいて、Mr. Jones が…

『鼠−鈴木商店焼打ち事件−』1975年

ISBN:4167139014 大正7年、一介の商店から三井・三菱と並ぶ大商社となった鈴木商店の栄枯衰退物語 「鈴木商店が米を買い占めている」という噂の真相が「みんながそう言ってたから」程度の根拠で、米騒動のターゲットにされた鈴木商店は貧乏くじを引いた 「一…

『明治・父・アメリカ』1975年(新潮文庫 1978年)

ISBN:4101098174 星一(星製薬の創始者)の伝記 『遠き落日』の野口英世と同時代に生きた人として、田舎出身で努力家であるところは共通していながら、こちらは倹約家で人々から信頼されるキャラ こういう「いい人」キャラの話は、道徳の教科書的になったり…

『あなたの知らないガリバー旅行記』1985年(新潮文庫 1988年)

ISBN:4101255105 古典の解説のついでにご自分のお話も交じり、よく言えば堅苦しくなく、悪く言えば突っ込みが中途半端 「アイルランドにおける貧民の子女が、その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方…

『ガリバー旅行記』

青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/cards/000912/card4673.html 【原作】Gulliver's Travels 1726年(1ポンドと50ペンスの名作)ISBN:0140620842 小説としてはそこそこおもしろいだけだが、18世紀そこそこに、このような反社会的思想を発表した肝っ玉がすご…

『おろしや国酔夢譚』1974年 (徳間文庫 1991年)

ISBN:419599358X 光太夫はいい男。頭がよく、好奇心旺盛で、しぶとく生きる術にも長け、責任感が強く、プライドが高く、礼儀正しい。特に、根拠のあるプライドが、それを誇示しなくても人々に伝わってしまうのは素敵、しびれます この物語においては、確かに…

The Real Life of Sebastian Knight 1941年

ISBN:0141185996 芸術家の弁解めいていて、共感はできない Sebastian Knight は芸術家なのでもちろんのこと、その弟も高慢な印象。自分の都合が絶対的に正当であり、人の都合なんか眼中にない 心情的にのめりこむことはできなかったが、物語の構成は均整が取…

United Kingdom > England > The Lake District

たかがイングランドの湖水地方なので、カメラも持たずに出かけたが、前回の印象よりもよかった。現地で慌てて使い捨てカメラを購入(w 連日の雨で夏とは思えない寒さ。今日は朝っぱらから降っていたので、うんざりして予定を縮めて帰ってきた ■アウトドア …

『遠き落日』1979年

ISBN:4041307147 ISBN:4041307155 野口英世の電波キャラ気質に魅了される。電波キャラというのは、自分の生活には関わってこないと確信できるときには、とてつもなく興味が引かれるもの。日本のお札の顔になるらしいが、大丈夫か(w 第一章『メリダにて』は…

Girl with a Pearl Earring 1999年

ISBN:0007172826 地味。特に欠点があるとは感じないけど、とりわけ感銘も受けたりしない作品 映画の評判と照らし合わせてみると、原作よりも映画のほうがよくできている稀な例なのかもしれない。絵画にまつわる話なので、画像による表現が有利な面が大いにあ…

The Sicilian 1984年

ISBN:0099414740 (The Godfather ISBN:0099429284 の続編もどき) Salvatore Guiliano と Don Croce Malo に関する長い脱線2話が物語の柱となる Guiliano が「アメリカ人にも引けを取らない長身」のいい男で、田舎者にしては教養があり、女性問題には奥手で…

『雁』 1915年

ISBN:4101020019 暇な女とインテリ男のすれ違い物語 男も女も器量がよくなければ話にならないということは、よくわかった このような話を何十年も経って詳細に打ち明ける女は、その後の人生でよほど(輪をかけて)暇だったんだろう ■キーワード 森鴎外

『笹まくら』 1966年

ISBN:4101169012 (解説: 川本三郎) ISBN:0231126581 英訳: Grass for My Pillow 戦前に徴兵忌避した男が戦後に生きていく様。戦中の話よりも戦後の話のほうが興味深い 非時系列の物語は大成功。とくに主人公が徴兵から逃れるために家を出るシーンが一番最…

Closing Time 1994年

ISBN:0743239806 長かった。忍耐の555ページ。 Catch-22 では脇役だった Sammy Singer の友人、Lew Rabinowitz が語り手となる。主人公は Sammy と考える。 Sammy と Lew の話は「人間の死に方」というテーマに沿っていて、けっこうおもしろい。ただし、Lew …

『夢の木坂分岐点』 1987年

ISBN:4101171246 第1章を読んで、おもしろすぎた。主人公の小畑重則がいつのまにか大畑重則になっていて、いまひとつよくわからず、慌てた。第5章あたりでなんとか作品の趣向が飲み込めた(ような気がする)。全8章。解説は井口時男。筒井先生の日本語使いは…