A Star Called Henry (イギリス 1999年)
- 作者: Roddy Doyle
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 2000/09/07
- メディア: ペーパーバック
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- 最初はアイルランドものにありがちな貧乏物語で、ああ、またですか、と思ったが、主人公の Henry が家族に置いてきぼりにされ、弟と生き延びていく話になったら、鑑賞に耐える話になった。
- Henry は弟の Victor のことが大好きだったんだなあ、と思わせる描写が秀逸。弟が死んでも淡々と生き延びていく。まだ子供なのに、ここで泣き喚いたからって、誰かが慰めてくれるわけでもないし、ただの慰めなど役に立たないということを熟知している。弟の死に涙を流すシーンはないが、事あるごとに Victor のことを思い出す。「俺は悲しい!」なんてくどくど言わなくても、私の胸にジーンと来ます。
- Henry は村上龍もビビるほどのいい男らしいが、それが小説の中で一人称で書かれているから興ざめだ。Henry は恐いもの知らずキャラだってのに、「俺の眼って青くてキレイでしょ?」とナルシスト趣味があるのはいかがなものか。
- Henry は自分からとくに何もしなくても、女が次から次へと寄ってきてセックスしてくれる。まるで村上春樹(読んだことないけど)の小説から出てきたようなキャラだな。
- これほど言い寄られてセックスしまくりなのに、妊娠騒動が一切ないのが不思議。
- 初体験で(相手は短い間通った小学校の先生だった人)「同時にイった」って、本当ですか。
- その相手としばらくして再開を果たし、後に結婚する。たびたびセックスシーンがあって、どうも避妊をしている様子がなく(カトリックなら避妊をしないのが正統派か)、もしかしたらこれは「Henry には子種がないと思え」という設定なのかと思ったら、物語の終盤で妻が妊娠した。どうなってんの?
http://books.guardian.co.uk/print/0,3858,3922176-99930,00.html