『ルネサンスの女たち』(中公文庫 1973年)

ルネサンスの女たち (中公文庫)

ルネサンスの女たち (中公文庫)

政治もまた偉大な芸術であったルネサンスのイタリアにおいては、女性たちも大胆に、あるいは不可避的に権力と関わり、熾烈な生涯を生き抜かなければならなかった。エステ家のイザベッラ、ボルジア家のルクレツィア、スフォルツァ家とコルネール家のカテリーナ―四人の魅力的な女性を横糸に、権謀術数の時代を縦糸にして織りなされる華麗な歴史物語。

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  • イザベッラ・デスデとカテリーナ・スフォルツァの話がおもしろい。気が強くて行動が伴っている
  • ルクレツィア・ボルジアとカテリーナ・コルネールには魅力を感じない。守られて慰められることに酔いしれるタイプだから
  • 読者に媚びていず、読者には大人しか対象にしていない態度が素晴らしい。「中途半端な感傷」を徹底して見下すところに筋が通っている。デビュー当時からこの調子だったんですね(w
■素敵な表現集
偽善は、それをしていることを自覚しない人間がやると、なんの役にも立たないどころか、鼻もちならないその臭気が、人々を毒する。しかし、それをしていることを十分に承知している人間の行う偽善は、有効であるとともに、かつ芸術的に美しい。
■キーワード 塩野七生