『明治・父・アメリカ』1975年(新潮文庫 1978年)
ISBN:4101098174
星一(星製薬の創始者)の伝記
- 『遠き落日』の野口英世と同時代に生きた人として、田舎出身で努力家であるところは共通していながら、こちらは倹約家で人々から信頼されるキャラ
- こういう「いい人」キャラの話は、道徳の教科書的になったり、勧善懲悪ドラマ風になったりして、端的に言うと「つまらない」話になりなりがちなのだけど、読んだ後の気分は実に爽快だ
- その理由は解説(小島直記)がみごとに解説した。「簡潔で、明快な文体」が「愛情をこめ、簡潔に、気取らずに静かに語ってくれる」からだ
- したがって、たかが200ページ余りの短い作品の中に詰まっている情報は分量の割に多い。それでいて、読者に消化不良を起こさせない
- 星一のお父様もお母様も、たいへんご立派。とくに、幼いうちの躾は厳しく、大人になったら本人の意思を尊重し、信頼するお姿は素晴らしい。子供のわがままを通させ、その子が大人になれば干渉してくる親はこれを見習うべき
- 伊藤博文の好キャラぶりは素敵
■関連図書
星新一『人民は弱し 官吏は強し』ISBN:4101098166
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