『遠き落日』1979年
ISBN:4041307147 ISBN:4041307155
- 野口英世の電波キャラ気質に魅了される。電波キャラというのは、自分の生活には関わってこないと確信できるときには、とてつもなく興味が引かれるもの。日本のお札の顔になるらしいが、大丈夫か(w
- 第一章『メリダにて』は余計。『野口英世について取材をしている私、渡辺淳一をよろしく』みたいな宣伝文句はあとがきにでも書いてくださいよ。作品にちゃっかり紛れ込ませる必要なし。しかも、一週間の勉強でスペイン語で演説できるレベルに達した野口英世は確かにすごいけれども、6時間のフライト中に buenas tardes と gracias しか覚えてこなかった渡辺先生と比べちゃダメでしょ。その非礼さは、外国人に向かって『あなたの英語は私のフランス語よりも上手』というイギリス人並み
- 野口英世のお母様は素晴らしい。「私は馬鹿なので」とか「私は気が小さいので」とか言いつつもちゃっかりわがままを通す女よりも、こういうガンガン突き進む女が好ましい
- なのに、野口家のその他のメンバーがショボすぎる。とくに父親。渡辺先生は優しい目で見ておられるけれども、私に言わせてもらえば、悩みも虚栄心も誰にだってあるんであって、この父親は単に、自分が何もしなければ誰かが何とかしてくれると信じて疑わない典型的な末っ子タイプなだけ。弁解の余地なし
- 全体的に男は精神的に知恵遅れであり、女の観察眼が鋭いという構図
- 渡辺先生は、下手に女の心理を書かなければ、けっこうまとも。女心は知ったかぶりして書かないほうがよいのだ
- タイトルがもったいぶっていながらダサい。『花埋み』(ISBN:4041307104)も同様