安部公房

『燃えつきた地図』(1967年)

作風は『砂の女』と、まあ、同じ。主人公の男には「言っていることはわかるけど、態度が傲慢」と思いつつも、日常の場面で心中で思っても口には出せないことを代弁してもらったかのような開放感を持ってしまう。『砂の女』ほど物語はエキサイティングでない…

『砂の女』(1962年)

主人公の男の傲慢な態度に不快感をたまに持ったが、比喩の細かさ、日ごろ思ってはいても、やはり他人とはなかなかシェアできないようなことがズバリと書かれているところなどに引き込まれた。大真面目調で「悪臭と言っても、自分の足の臭いならいいにおい」…