『文学的商品学』(2004年)

文学的商品学 いつもなら文庫や新書しか買わない。新刊書は高いし場所をとるし、文庫や新書になると加筆修正されたり、文庫版や新書版のあとがきが加わるのが通常であることを考えると、損な買い物である。しかし、我慢できずに買ってしまった。

寸評としては「ちょっと期待はずれ」だった。分析対象となっている作品のうち、うおぉぉぉ読んでみたい!と思うものは1冊もないので、それら作品を読まずして突っ込みどころだけ押さえておくために便利である。

相変わらず、勘違いオヤジ作家に込められる寒めの愛情に注目。男のマチズモ誇張系として石原慎太郎、ダサ・エロ系として渡辺淳一丸谷才一、かっこつけ自己陶酔系として村上春樹村上龍ももちろん登場するが、本書ではインパクトはさほどない)。

そして芥川賞の最終審査で石原慎太郎を筆頭とする審査員に酷評され、筒井康隆より Bunkamuraドゥマゴ文学賞を与えられた町田康の馬鹿文学に注がれる暖かい愛情。定価で新品を買ってまで読まなくていいけど、うまく手に入れられるようなら読んでみたい。

次に日本から書籍を購入するときに、昨年刊行された『趣味は読書。』をやはり我慢できずに購入するつもり。

文章読本さん江』と『文壇アイドル論』も読みたくてウズウズしているが、こちらは文庫になるのを待っている。我慢できるか?